神社仏閣での御朱印、駅や観光地にある記念スタンプなどのコレクションを楽しんでいる方が大勢いらっしゃいます。
同じように風景印も旅先や街歩きで集めると楽しいものですが、気をつけるポイントがいくつかあります。
押印する人(局員さん)も押印してもらう人も、みんなが気持ちよく利用できるよう、ルールとマナーを理解しておきましょう。
押印にはハガキ料金以上の切手、もしくは通常ハガキが必要
魅力的なデザインであるがゆえに、無料で自由に押せる記念スタンプとカンチガイされがちな風景印。
しかしながら風景印は普通の消印と同じく、郵便局が業務で使う「公印」です。
切手、もしくは通常ハガキの料額印面(宛名面左上の代金が書かれているところ)にかける形でないと押印することができません。
切手は未使用であれば古いものでもOKですが、ハガキを郵送するときの料金以上(現在は85円)が必要です。
うっかり、少ない金額の切手で押印を求めないよう気をつけましょう。
風景印と合わせたい昔の切手があるんだけど、40円切手なの…
そういう時は同じ台紙上に、追加料金分の切手を貼れば大丈夫!
下の図のような形で押印してもらえますよ。
風景印は公印! 自分では押せません
風景印は郵便局が業務で使う「公印」であり、扱えるのは基本、郵便局の職員さんだけです。
だから「自分で押したいです!」とお願いするのはNG!
時々「自分で押しますか?」と言ってくださる局員さんもいるので、その場ではとりあえずOKということになりそうですが、とにかく自ら求めるのは控えましょう。
風景印は消印! 切手にきちんとかけるのが規則
「印が切手にかかる部分をできるだけ少なくしたい」という気持ち、風景印ファンなら誰もが共感できます。
実際、ほんの少しだけかける形(通称「チョイがけ」)を希望する人が大半ではないでしょうか。
だけど! 繰り返しになりますが風景印には「消印」という仕事があります。
「この切手(ハガキ)は使用済ですよ」と示すため、記念押印では3〜5mm、引受消印では10mm程度、切手にかかるよう押印するのがルールとされています。
「切手の下の部分にちょこっとだけ!」「切手の右下角に1mmくらい!」など、局員さんを困らせてしまうお願いはやめましょう。
押印してもらう台紙の”紙質”にも心くばりを
記念押印の台紙はこだわりポイントの1つですが、意外に見落としがちなのが、その紙質です。
NG例1:表面にツヤがあるもの(コーディング加工)
表面にコーディング加工がほどこされたポストカードは水に強い特徴があり、文房具店などでもよく見かけます。
ところがそれに消印をうまく押すのは、実はなかなか難しいこと。
あまりインクを吸収してくれないので乾燥に時間がかかりますし、乾く前にうっかりさわって、せっかくの絵柄をこすってしまう事故も起こりがちです。
解決策として風景印・小型印専用の「押印用シール」を合わせて使用すると、キレイに仕上げることができます。
NG例2:和紙
一言に和紙といっても、工場で作られたなめらかな表面のものから、手すき和紙のように味わい深いものまで様々です。
そのうち局員さんを困らせてしまうのは、繊維質で毛羽立っている紙。
表面が平らでないのでキレイに押印できないこともありますが、紙の繊維が印に貼りついてしまい、メンテナンスに手間を取らせてしまうのです。
少しなでると細かい繊維が指についてしまう紙は、次に押印してもらう人のことも考えて、使用を控えておきましょう。
和紙でなくても表面がでこぼこした紙は、あまり押印に向いてなさそうです。
NG例3:紙以外のもの
透明でクリアなプラスチック製ポストカードや、観光地で時々見かける植物素材の郵便グッズ。
どれも個性的でインパクトがあり魅力的なものばかりですが、ところがこちらも消印をきれいに押すには不向きなものが多いです。
「1」のコーティング加工された紙と同じように「押印用シール」を使う手もありますが、もともと表面に大きな凹凸がある素材ではそれも難しそう。
せっかく貼った押印用シールがはげる可能性もあるので、風景印押印希望のときは避けたほうが良さそうです。
押印に適している紙、参考になるのは通常ハガキ!
押印に向いているのは、表面がなめらかでインクの乾きがよく、色が明るい(白色に近い)紙です。
参考になるのは言うまでもなく通常ハガキ!
郵便のために作られている紙ですから、当然消印が美しく映えやすい仕様です。
オリジナル台紙を用意するときは「通常ハガキと似ているか?」を目安に、紙を選ぶと良いでしょう。
人間だもの! 局員さんでも上手く押せないことだってある
風景印は基本的に、ひとつひとつ局員さんの手作業で押印されます。
特に記念押印のときは「きれいに押さないと!」というプレッシャーがありますから、押す前に何度も試し押しをしたり、印のゴミを取り除いたり、通常の消印業務よりはるかに時間がかかってしまうのです。
それだけ丁寧に対応してくださっても、手作業ゆえに押印に失敗してしまうこともあります。
部分的に不鮮明であったり、インクの量が少なくて薄くなってしまうのは確かに残念なことだけど、ここはひとつ感謝の気持ちをもって許容しましょう。
笑顔で「ハガキを1枚ください。それで再チャレンジお願いできますか?」と昭夫さんのようにサラリと言えたら、粋でカッコいい郵趣人の仲間入りです!
※昭夫のイラストが入ります。
上級編:風景印で郵便物を送る時(引受消印)のルールとマナー
自分で持ち帰るコレクションのための「記念押印」は、基本ルールを守れば自由度の高い郵趣品を作ることができます。
対して郵便物として取り扱われる「引受消印」は、関係法令(郵便法、郵便約款など)やその他ルールをさらに守る必要があります。
切手は宛名面のみ。裏面には貼れません
郵便&風景印愛好家の中には、宛名面ではなくハガキの裏側に「イラストの一部」として風景印を押印してもらう方がいます。
その場合、宛名面にはシールやスタンプで「切手裏面貼付」とかかれていたりするのですが…。
この楽しいお便りスタイル、実は原則禁止なのです。
理由は、裏面(特にハガキ)は相手に伝えたいことやプライベートに関することが書かれているため、郵便局員さんは極力目にしないように心がけておられるんですね。
えー! それでも風景印でお便り面、いろいろアレンジしたいなあ。
そういう時は、切手代は多めにかかってしまいますが、「記念押印」(おたより面の装飾)分と「引受消印」(郵便物として出す)分を分けてしまえば大丈夫!
宛名面に郵送代金分の切手が貼られているので、郵便局員さんも裏面を確認する必要がありません。
「引受消印」では、消印をかける目安は約10mm!
このページ上部、「風景印は消印! 切手にきちんとかけるのが規則」にも記載しましたが、「記念押印」と「引受消印」では切手にかける消印の範囲が違います。
記念押印は3〜5mm、引受消印では10mm程度、切手にかけるのがルールです。
引受消印は郵便物として発送されるものに押すので、「この切手は使用済みですよ!」を、より明確に示さなくてはならないのです。
風景印でお便りを出すとき「あまり切手にかけないでください」とお願いしてしまうと、郵便局員さんは困ってしまいます。
一度出した郵便物は写真撮影できません
お友達や知り合いに風景印お便りを出すとき、「こんな可愛いの作ったよ!」と、SNSなどでつい自慢したくなりますよね。
ところが消印押印済みの郵便物(つまり窓口に出したもの)を、その場で写真撮影することは禁止となっています。
仮に撮影してしまったとしても、配達完了前の郵便物画像をSNSなどにアップする行為も禁止です。
※配達後のものは全く問題ありません!
郵便局は金融機関です。金庫の位置や大切な書類が写真に写ってしまい、それがオンライン上にアップされると大変なことになる場合もあります。
少し話はズレますが、最近はメルカリなどのネットオークション利用で、個人同士のお取引も増えました。
その際、「商品を送ったことを示す証拠写真」として窓口で撮影する方もいるようですが、これも同様に禁止です。
ぜひ郵便のマナーを守って、楽しい郵カツ&印カツを心がけてください。